「自分の仕事が、大きなプロジェクトのどこに繋がっているのか分からない……」
「建設コンサルやゼネコンって名前は知ってるけど何をしてるの……?」
そんな悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
建設業界は、多くのプレイヤーが複雑に絡み合う世界です。
一つの道路、一本の街路灯の裏側にも、驚くほど多くの会社がバトンを繋いでいます。
その中で、自分がどういう立ち位置で何のための仕事をしているのか把握することはとても重要です。
今回は、元・建設コンサルの私が、現在のメーカーという視点も交えながら、「公共工事」を例にした業界の相関図をシンプルに解説します。
自分の立ち位置を客観的に見つめ直すヒントにしてみてください。
建設業界を動かす「5つの役者」
まずは、主要な登場人物を整理しましょう。
●発注者(県・市町村など)
お金を出す「施主」
すべての意思決定を担うプロジェクトの起点です。
●建設コンサルタント
図面を引く「頭脳」
発注者のパートナーとして、最適なインフラの「レシピ」を作ります。
●ゼネコン
現場を仕切る「司令塔」
工期・品質・安全を守り、プロジェクト全体を統合する責任者です。
●工事業者
現場を形にする最後の砦「実行部隊」
道路や橋を実際に形にする、ものづくりの主役です。
●メーカー
現場を支える「武器屋」
最新技術を駆使した製品を供給し、インフラの機能性を担保します。
【相関図】各役者の立ち位置はこれ!
これら5つの役者がどう繋がっているのか、図にまとめました。

ポイントは「商流(お金)」と「スペック(情報)」の2つの流れがあることです。
お金の流れ
発注者から、設計(コンサル)と施工(ゼネコン)に分かれて流れます。
基本的に発注者は「設計業務」として発注し、コンサルが受注、最終的には図面と報告書を納めます。
発注者は作成された図面で工事発注を行い、ゼネコンが受注します。
ゼネコンは綿密な施工計画の上、必要な各種工事業者に依頼をします。
こうして、生活の支えとなる道路や橋などのインフラがつくられていきます。
情報の流れ
実は、メーカーの営業は完成した図面を見てから動くのではありません。
設計の段階からコンサルに技術提案を行い、『自社製品が最適である理由』を図面に書き込んでもらう(スペックイン)。この上流での種まきこそが、メーカーの技術営業の醍醐味です。
メーカーは、工事が発注され、工事業者から依頼が来るのを待っているのではなく、もっと川上の段階で自社製品が売れるよう動いているわけです。
このような活動は、メーカー以外の登場人物についても同じことが言えます。
コンサルやゼネコンは自社が受注できるように、発注者に対して「当社にはこんな技術力があります」というような営業活動を行っています。
建設業界におけるその他の登場人物
当然、先に挙げた5つの役者以外にも登場人物はいます。
簡単にいくつかご紹介します。
●設計事務所
意匠・構造・設備を専門に設計する組織。
建設コンサルの外注先。
土木設計事務所や建築設計事務所、設備設計事務所など様々。
●サブコン
設備や電気など、専門工事を請け負う会社。
ゼネコンから設備工事(電気や空調など)を請け負い、取りまとめる。
●第三者検査機関
法令遵守や品質を、公平な立場で検査する組織。
税金が投入されるインフラ工事に不正がないかを『技術のプロ』として監視・証明する。
●商社
メーカーと現場の間で、資材を円滑に流通させる。
自社で在庫管理や販売を行い、物流や金融を支える流通の主役。
●代理店
メーカーに代わって営業や窓口を行い、契約を仲介する専門組織。
メーカーと工事業者の間に入り、売買を含むやり取りを行う。
立ち位置が変われば、景色が変わる
私は以前、「建設コンサルタント」として働いていました。
はじめは自分の立ち位置もわからないまま、
ただ納期に追われて必死に報告書をつくる毎日でした。
しかし現在は、「メーカー」として業界に関わっています。
メーカーという立ち位置は、建設業界だけでなく、他の産業とも接点があります。
この「広い視野で見渡せる」立ち位置が、今の私にはとても心地よく感じています。
おわりに
建設業界は、外から見るよりもずっと泥臭く、そして深い世界です。
元建設コンサルだった私は、この業界特有の「黒さ」を身をもって経験してきました。
コンサル時代は「納期」という名の濁流に飲み込まれていましたが、メーカーという少し離れた場所から見渡すと、あの時の苦労がどう繋がっていたのかが、今はよく見えます。
今の環境に息苦しさを感じているなら、一度自分の立ち位置をこの相関図に当てはめてみてください。
少しだけ、視界が開けるかもしれません。
さて、今度はさらに踏み込んだ話を。
私の経験に基づいた**「完全主観!建設業界の役者たちのブラック度合い」**を綴ってみたいと思います。
どうぞ、お楽しみに。


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